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代表理事・会長メッセージ
日本社会はさまざまな要因を抱え、いま大変厳しい状態にあります。社会に蔓延するリーダーシップの不在、長年繰り返される不祥事、国際社会での存在感の低下、少子高齢化や貧困問題、地球環境問題で激甚化する自然災害、そして新型コロナウイルス。解決しなければならない問題は山積みにもかかわらず、国としての将来展望がいまだ見えない状況にあります。
ビジネスの世界では90年代初頭から日本の国際競争力が落ち込み、現在に至る状況は「失われた30年」とも呼ばれています。一方米国では、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)に代表される、創造的で斬新な企業が国家の枠組みを越えて、新しい世界のシステムを作ろうとしています。彼我の違いは、ひとえに多様性が前提であるグローバル社会に日本が適応できていなかったことにあると考えています。
外部環境の変化を読み取り、異なる文化をもつ世界の人々と倫理的価値を軸に議論することで、共通の価値観を見出し、自己決定し、合意形成を行なう。日本人が不得手とするこのプロセスを実現するためには、さまざまなステークホルダーとの良好な関係構築を通して目標や目的を達成する「パブリック・リレーションズ(PR)」の知識と技術こそ不可欠です。
20世紀初頭に米国で誕生したパブリック・リレーションズは、米国社会に深く浸透し、企業においては財務やマーケティングと並ぶ重要な経営ファクターと位置付けられています。またさまざまな効果測定はもちろん、学問的研究や実践教育が行われる一方で、文化コードの異なる日本では社会的な認知や理解度が低く、研究者の数も乏しいため、パブリック・リレーションズの重要性や教育的価値を社会の成熟や経済成長に役立てることができておりません。
ここに「日本パブリックリレーションズ学会」は、パブリック・リレーションズの実践的な研究を通して学問的に確立するとともに、得られた知見を広く日本社会に浸透させるための人材育成を行ない、幼児教育から高等教育に至るまで一貫したプロセスの実現を目指してまいります。
明治維新以来、欧米(近代化)にキャッチアップし、度重なる挫折を乗り越え先進国となった日本。それを可能ならしめた日本人の真面目で勤勉な国民的特性は弱まっていません。その高い資質と能力は、パブリック・リレーションズを通じて最大化できるものと確信しております。
「日本パブリック・リレーションズ学会」は、教育および研究の新たなプラットフォームとして、パブリック・リレーションズに関わる教育者や研究者、実務家を広く糾合し、パブリック・リレーションズを日本に根付かせ、より良い社会の実現のために貢献してまいります。
2022年3月26日
一般社団法人日本パブリックリレーションズ学会
代表理事・会長 井之上 喬